無痛分娩の現在の主流は、麻酔薬を用いた
硬膜外鎮痛法です。この硬膜外鎮痛法が、
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を抱える
産婦さんにとって、分娩時だけでなく妊娠中の
治療としても有用であるということがわかって
きているようです。
妊娠高血圧症候群とは、高血圧を主体として、
蛋白尿やむくみを伴う全身性の疾患です。
この疾患を抱える妊婦さんの場合、赤ちゃんへの
血液を送る血管である臍帯が細くなっているため、
妊娠中の赤ちゃんに十分な栄養が供給されず、
発育が悪くなりがちだということです。
硬膜外鎮痛法による無痛分娩では、このような
ケースの場合に、血圧に影響の出ない程度の少量の麻酔薬で
鎮痛を行なうだけで、子宮への血流を含めた内蔵の
血流を保つことが可能になっています。
これを妊娠高血圧症候群の治療に使う場合、
妊娠の半ばから終わりに治療を行います。まだ
陣痛も始まっていない時期に、硬膜外鎮痛法の
ための細い管(カテーテル)を背中から注入し、
麻酔分娩で用いるよりずっと少ない量の局所
麻酔薬を1〜2週間にわたり少しずつ入れる
という治療を継続します。
この麻酔薬の注入によって、高血圧が改善し、
病的に低下していた血小板の数が正常になり、
赤ちゃんへの栄養供給がスムーズに行われ、
発育にも改善がみられる、というのです。
数週間の間、体の中に麻酔薬が入ることに
関しては、かなり心配でしょう。ただ、、
入れるところはあくまで神経組織のまわりで、
血管の中に入れるわけではありません。
実際に今までのところ、この治療による赤ちゃんへの
悪影響はみられていないようです。
この新しい治療法に期待が持たれていますが、
しかしながら、血圧をコントロールできたとしても
妊娠高血圧症候群の病態をする改善には限界が
あるということも事実です。
また、カルシウムを積極的に摂ったり、海草、
野菜、魚などをバランスよく食べるなど、
薬だけに頼るのではなく、食生活にも気を配り、
妊娠高血圧症候群の予防に努めることが大切です。

